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セミナー参加者体験談 医師とNLP (2)

医師とNLP

事 例 2 (Tさんのケース)

Tさん(男性)が、便秘を主訴に私の外来を受診したのは、インフルエンザがまだ猛威をふるっている頃でした。 Tさんは便秘で心配だから、何とかしてほしいという主訴でしたが、話を聞いてみると、ここ数日は量は少ないが毎日しっかり排便はあるとのことでした。

おなかの診察をしても、特に異常となる所見はなく、特に問題は見当たらないので数日経過を見ましょうと説明したのですが、どうも表情が優れません。

その様子を見て私はこれは単に便秘が心配なのではなく、他に何か気になることがあるかもしれないと考えました。

私はTさんが話しやすい環境をつくろうと、ペーシングをしながら、Tさんの話を聞きました。

「診察をさせていただきましたが、おなかは特に問題となる所見は見当たりませんでした。便通も毎日あるとのことですが、何があなたを心配させているのですか。」
Tさん
「今まではすっきり出ていたのに、何かすっきりしないんです。」
「すっきり出ないということが心配なのですね。すっきり出ないと、Tさんはどんなことを感じるのですか?」
Tさん
「単なる便秘ではなく、癌とか」
「単なる便秘ではなく、もしかして癌かもしれないと心配になったのですね。」
Tさん
「じつは父親がちょうど今の私くらいの年齢のときに癌が見つかったんです。でも見つかった時にはもう手遅れで、その年の暮に亡くなったんです。今まではあまり気にしてなかったのですが、この頃急にそのことを思い出し、頭から離れないんです。」

私は、Tさんの態度や話すスピード、感情に注意を払い、ペースを合わせるように話を聞きました。するとTさんは、ゆっくりと話し始めました。

Tさん
「最近はなかなか寝れないし、やっと寝てもすぐに目が覚めてしまって・・・、食欲もないし、元気が出ないんです。」

Tさんは同じ年齢で大腸がんで亡くなった父親の事を思い出し、急に病気のことが心配になったようです。
また心配が長い間続いたため、うつ的な症状が出現し始めていました。

しかし、Tさんが単に便通のことだけを心配していたのではなく、背後に自分は癌ではないかと心配していたことが明らかとなったため、私はTさんに大腸癌があるかどうか検査をすることをしっかりと約束し、同時にうつ的な症状に対し治療が必要と考えられることを説明しました。

ご紹介させていただいた2つの事例は、特別なケースではありません。
多くの患者さんに共通する心の奥に潜む、なかなか言葉にしない悩みや願いの例です。
患者さんの気持ちにそいながらよく話を聴くように心がけることにより、患者さんは、医療者にも少しだけ心を開いてくれることがあります。

私は、医師としてできるだけ患者さんとこのような時間を共有したいと願っています。

NLPを学ぶようになってから、私は、このような患者さんとの心のふれあいの時間を多く持てるようになった気がします。

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